【アダマンド並木精密宝石】高純度ダイヤモンドウエハ半導体の実現

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【アダマンド並木精密宝石】高純度ダイヤモンドウエハ半導体の実現

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現在のところ半導体不足が世界的な問題となっており深刻化しています。社会が電子化が進み、需要が膨らむ一方で生産・供給が追い付いていません。それゆえに半導体の分野というのは開発を進める分野で世界で最も注目されています。とりわけ次世代半導体材料の量産化が日本国内で開発され成功したことが明らかになりました。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、次世代半導体と言われる中の「室温量子コンピューター/高純度大型ダイヤモンドウエハ」に注目です。


「アダマンド並木精密宝石(AdamantNamiki)の発表」

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「アダマンド並木精密宝石(AdamantNamiki)」は、2022年4月19日に「高純度大型ダイヤモンドウエハ」を開発したことを発表しました。これは、不純物である窒素濃度が0.9ppbと非常に低く、直径2インチとダイヤモンドウエハーとしては世界最大クラスとなっています。この直径2インチという大きさについてですが、現在4㎜角のものしか存在していません。そのことを考えると、非常に大きなものへとなったことがわかります。強い結合をもつダイヤモンドは、「スピン」と言われている量子情報を保持しやすいという特色があり、室温で使用できる量子コンピューターや超高感度センサーへの転用などが期待されています。


「ダイヤモンドウエハとは」

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「ダイヤモンドウエハ」:合成ダイヤモンドを使用した半導体を作り出すためのウエハです。現在のところ半導体の主流となっているのは、シリコンですがダイヤモンドは絶縁耐圧や熱伝導率といった物理特性に優れており、究極の半導体になる可能性が高いということです。ダイヤモンドウエハはダイヤモンドの結晶中の炭素(Ⅽ)原子の一部をN原子に置き換えた構造のものです。窒素原子の原子価は炭素原子の原子価より1小さめ、窒素と炭素のペアで1つの空孔ができるようになります。そして、この空孔部分に電子が集まり、集まった電子は磁石のように振る舞うスピンと呼ばれる量子状態を維持します。この状態では一般的に冷却しないと維持が難しいとされています。ダイヤモンドウエハの場合、頑丈なダイヤモンド構造に守られているため常温でこの状態を維持できるということです。これは、「常温」で使用することが可能になるということです。


「高純度大型ダイヤモンドウエハの使用目的」

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「高純度大型ダイヤモンドウエハ」の使用目的とはどのようなところにあるのでしょうか。実に量子コンピューターや高感度センサーなどの活用が期待されています。また「パワー半導体」での活用も期待されています。パワー半導体には、高い電圧、大きな電流を扱うことが出来る半導体で高い電圧や大きな電流にも壊れないように通常の半導体とは異なった構造となっています。パワー半導体はモーターの駆動やバッテリー充電、CPUやLSIなどの半導体駆動などに利用されています。とりわけバッテリーやモーター駆動に関する分野での需要は高まっていくと予想されています。例えば、自動車業界はガソリンエンジンから電気自動車のEVへの転換期となっています。自動車は車体の制御や運転に関する制御、エンジン内・ナビやオーディオの制御といった車一台で数十から百余りの半導体が必要とされています。これが電気自動車の場合となると、さらに必要数が増加するということになります。これから電気自動車は量産体制になっていくものとされており、パワー半導体の需要が上昇していくことが考えられています。それで半導体の市場は2020年の514億円に対して2030年は2490億円と予想されています。そのために2021年以降は年率で20%近い伸びが続くとも言われています。ですから日本がパワー半導体の分野で先手を取ることが出来れば、パワー半導体の製品を量産できることに加えて、それを輸出することにって国益を得るといったことも考えられています。


「アダマンド並木精密宝石(AdamantNamiki)とは」

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「アダマンド並木精密宝石(AdamantNamiki)」は、東京都足立区新田に本社を置いており、精密機器メーカーで「宝石」と表記されているように

ダイヤモンド、サファイア、ルビー、セラミックスなどの工業用宝石を素材から加工、研磨まで一貫生産を行っています。この「切る、削る、磨く」の精密加工技術は国内において非常に高い水準です。「アダマンド並木精密宝石(AdamantNamiki)」と「佐賀大学工学部」の「嘉数誠」教授との共同開発で「ダイヤモンドウエハ」に関する共同研究を行っています。そして、共同研究では独自のマイクロニードル法を構築し、直径1インチの高品質ダイヤモンドウエハを完成させ新動作原理に基づく、ダイヤモンド半導体パワーデバイスを炸裂し、世界最高水準の高出力電力特性が得られたことを発表しました。今回の「ダイヤモンドウエハ」は、窒素ガスの代わりに特殊なガス、不純物である窒素の濃度を低くしたほか、大きくすることも成功。「アダマンド並木精密宝石(AdamantNamiki)」の基盤開発統括本部の「小山浩司」氏は、「窒素は必要だが、必要以上にあると周囲に余計なスピンが生まれてノイズになる。具体的には窒素の濃度を3ppb以下にする必要があるそうです。


「アダマンド並木精密宝石・ダイヤモンドウエハの量産化と開発」

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「アダマンド並木精密宝石(AdamantNamiki)」は、早期に量産体制を整え、需要にこたえたいとしており2023年の製品化を目指すとしています。もちろん、ダイヤモンドウエハを用いたパワー半導体が期待されています。ダイヤモンド半導体は理論上ではシリコンに比べると、約5万倍の大電力効率並びに約1200倍の高速特性を有するとも言われています。大口径ダイヤモンドウエハ結晶の原子レベルの表面平坦化技術を活かして「アダマンド並木精密宝石(AdamantNamiki)」が開発したダイヤモンドの表面を原子レベルで平坦にするCMP技術を採用することで、表面の加工変質層を除去することに成功。さらに窒素の濃度を下げることにも成功しています。このことによって大口径のダイヤモンドウエハを製造する手法が固まったことによって、ダイヤモンド半導体は大きく前進したということが出来るでしょう。ダイヤモンドウエハを使用したパワー半導体が完成すれば、搭載するものはパワーアップすることは容易に想像できます。

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管理人:TMM

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未来に残したい、繋げたいをテーマに日々を過ごすことに夢中。そのテーマに自然界、歴史、科学、教育など、あらゆる方面から未来と過去を行き来出来たら、現在どうなっているか、これから先どうなるのか気になることが多く、今更ながら様々な分野を勉強中。