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【ブルーイーネクサス】eAxle搭載トヨタbZ4Xの開発スペック
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世界のトヨタといわれる自動車業界を牽引してきた「トヨタ自動車」。常に最新技術を開発し、時代のニーズに合わせた自動車を世の中に送り出しています。その「トヨタ」が新型のパワーユニットを発表しました。「トヨタ」が採用したパワーユニットは「eAxle」と呼ばれるものです。自動車のパワーユニットとは、これまでガソリンエンジンやディーゼルエンジンが主流となってきました。しかし、脱炭素カーボンニュートラルが注目され、再生可能エネルギー、エネルギー資源の開発が急務とされている世界のエネルギー情勢において、新たなシステムの開発、導入が求められています。その転換となるパワーユニットの筆頭が電気自動車。そして、今回「トヨタ」が採用したパワーユニットが「eAxle」です。これは、とても重要な情報と言えるでしょう。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、「トヨタ」が採用を発表した「eAxle」に注目です。
「BluE Nexus(ブルーイーネクサス)トヨタ・eAxleとは」
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今回、「トヨタ」が採用を発表した「eAxle」は、トラクションモータシステム「E-Axle」というものです。これは、従来型と比較すると小型化、低損失化、動力性能の向上に繋がっています。この開発には、「BluE Nexus(ブルーイーネクサス)」、「アイシン」、「デンソー」の3社が共同開発したもの。このパワーユニットは、モーター、インバーター、減速機が一体となったパワーユニットで、電気自動車の動力部の要(車両の電動化で必要とされる電動駆動モジュール)となる部分です。モーターは、「アイシン」が開発しています。インバーターは「デンソー」が開発しています。
「BluE Nexus(ブルーイーネクサス)」:2019年に設立した電動化システム、電動駆動モジュールの開発販売会社です。以下の出資率によって設立されています。
- 「アイシン」:45%:2004年にハイブリッドトランスミッションを発売し、500万台以上の電動ユニットを手掛けています。
- 「デンソー」:45%:1997年の初代モデルの「トヨタ・プリウス」の発売当時から2000万台以上のインバーターを開発生産してきた実績を持った会社。
- 「トヨタ」:10%
「トヨタ・bZ4X・eAxle搭載車」
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新型の「eAxle」は、「トヨタ」が新型バッテリーEVモデルの「トヨタ・bZ4X」に搭載されることが発表されています。このモデルは2021年4月19日にコンセプトモデルが上海モーターショーで公開されました。そして、トヨタのEVシリーズ「TOYOTA bZ」の第一弾モデルとなり、bZシリーズのパートナーの一社である「SUBARU」と共同開発しているモデルです。では、どれほど新型の「eAxle」の開発は進められているのでしょうか。EV専用のプラットフォームである「e-TNGA」を採用し、ショートオーバーハング・ロングホイールベース化によって室内空間の拡大に成功しています。駆動方式は「SUBARU」のAWDシステムを採用。またソーラーシステムによって停車中も充電が行えるようになっており、回生システムに加えられた技術が素晴らしいものとなっています。さらに異形ハンドルによるステアバイワイヤを量産車初搭載し、ハンドル操作によるタイヤの切れ角を自由に変化させるシステムを装備しています。これによって持ち替え不要なハンドル操作を実現。そして、新型の「eAxle」はFWDモデル向けの150㎾症仕様(フロント)、4WDモデル向けの80㎾仕様(フロント/リア)の計3機種が発表されています。多段化などのラインナップ拡充と関連する生産ラインの考え方についての質問も発表会で応答されたようです。アイシンEV技術部の室長である井上氏は、「現状の製品は多段化の生産ラインには対応していません。今後、ニーズが出てくればラインを改造するか、新設するのかを考えていきたいと思います。」とコメントしています。「eAxle」を車体に載せて製品に電力を供給すると、タイヤに繋がるドライブシャフトの回転トルクを発生させて車を走らせるところまで、一製品で全てを完結させることが出来る画期的なシステムとなっています。これによって、自動車メーカーは開発スピードを上げることが出来るのです。現在のところ自動車メーカーは、電気自動車をいかに早く開発するかが問題となっています。これを解決し電気自動車を市場に投入することでシェアを獲得することに懸命となっています。これは、すべての車両を0から開発し市販化するまでには時間がないというのが現状です。この解決がなされるならば、電気自動車を世界中に普及させるとことも大きな追い風となることでしょう。そして今回、発表された新型の「eAxle」は旧モデルと比較すると小型化や低損失化、動力性能の向上を実現することに成功しています。その一つが、デジタルシミュレーションといった技術によって「eAxle」内部で求められている最適な冷却などの熱をコントロールするテクノロジーの進歩とインバーターの積層両面技術を進化させています。さらに電気自動車のための低粘度オイルを使い摩擦を低減させています。インバーターには、新しいRC‐IGBTを導入しており、各種技術を導入し従来モデルと比較して約10%の動力損失低減に成功しています。前輪用では、モジュールの前後方向の長さを旧型モデルと比較して、110㎜短縮し410㎜とし、後輪用では高さ303㎜に抑えることによって車内空間や荷室空間を拡大させることが可能となっています。これらによって車体デザインの自由度が上がっています。モーターの電費を向上させるコイルエンドの短縮接合技術については、モーターの開発を担当したアイシンPTモーター技術部の室長である「中川善也」氏が「今回の製品では平角線を使っており、コイルエンドの接合技術にはデンソー社で開発されていた新しいレーザー接合技術を採用してコイルエンドの短縮を実現しております。採用では2つの効果を狙っています。1つは、銅線自体が短くなることで損失を低減すること、2つ目はモーター搭載スペースが小さくて済むようになる小型化で両方のメリットを得られています。駆動用モーターにデンソー社のレーザー接合技術が使われるのはこれが初めてで、その技術をアイシン社の生産現場に技術供与いただいて共同開発したものになります。このように共同開発の意義を強調したものとなっています。」とコメントされています。
「日本電産が電気自動車のパワーユニット開発を強化」
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電気自動車の動力ユニットに関しては、すでに受注獲得競争が繰り広げられているようです。参入しているメーカーは多岐にわたるとされていますが、その一例が海外ではドイツの「ボッシュ」社、「ZF」社、「シェフラー」社、「ヴィステコ・テクノロジーズ」社、アメリカでは「デーナ」社、イギリスでは「GKN」社などのサプライヤーが挙がっています。日本国内においては、「日本電産」、「明電舎」、「三菱電機」も参戦を表明しています。とりわけ「日本電産」は「永守CEO」の指揮のもと「一番に拘り、何事においても世界トップを目指す」を経営基本理念として開発を加速させています。自動車業界としては電気自動車の開発に関しては、最先端の技術が必要とされるために完全内製での商品開発が一般的でした。しかし、電気自動車の開発においては、外部調達の動きが顕著化すると予想されているようです。それゆえに各自動車メーカーは、生産能力という面においても強化を図っており、ユーザーにとっては電気自動車の価格は下がっていくと考えられています。
「BluE Nexus(ブルーイーネクサス)次世代開発への改善ポイント」
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「BluE Nexus(ブルーイーネクサス)」のシステム開発部の主査である矢田氏は、「新型のeAxleには、これまでのハイブリッドカーの開発で培ってきた技術などを用いることで、損失低減による高効率化を図り、動力性能も改善できたと思っています。今後についてはお客様のニーズが先にあるので、それぞれのニーズに合った開発を進めていきたいと考えています。それが効率側にいくこともあるでしょうし、サイズ側に寄ることもあると思います。」とコメントしています。この分野に関しては「性能強化」、「コスト面」、「サイズ」など開発していく部分が多くあり、電気自動車が普及していくにつれ進歩し、製品としての完成度が上昇していくことが予想されています。
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