【デンソー/ホンダ/大同特殊鋼】レアアース不要のモーターを開発

この記事は3分で読めます

【デンソー/ホンダ/大同特殊鋼】レアアース不要のモーターを開発

あわせて読みたい記事:【フッ素ナノチューブ】日東工業の技術開発で世界水資源問題が解決

あわせて読みたい記事:【日本の水素エネルギー】特許数世界1位の水素技術でトップシェア

あわせて読みたい記事:【石油大国日本】2028年に経済効果2000兆円以上の油田開発

近い将来、ガソリン車に乗ることが難しくなることはカーボンニュートラルが推進されていることから明確です。ガソリン車は二酸化炭素や窒素化合物などの地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排気ガスとして排出するからです。最近では高性能フィルターが使われているために排気ガスの排出量も抑えられていますが、ゼロにすることは不可能なことです。そのために自動車メーカーは、急激な世界的に進む電気自動車の普及に応じて開発を早めていますが、どの自動車メーカーもまだまだ課題も多く開発の進歩が求められています。そして、電気自動車に必須となっている資源がレアアース。そのような中、レアアースを使用しないモーターの技術開発に日本の企業が成功し世界から注目されています。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、レアアースフリーのモーター開発に成功した「デンソー」、「本田技研工業」、「大同特殊鋼」の開発した技術に注目します。


「世界的なガソリン車規制や禁止や廃止」

あわせて読みたい記事:【PaleBlue】2025年に小型衛星用の水エンジンを実用化

日本では2030年代にガソリンを燃料とする自動車の新車販売が禁止されます。アメリカでもカリフォルニア州が2035年までにガソリン車の新車販売を全面的に禁止、ワシントン州でも2030年以降の全乗用車を電気自動車とすることを目標としています。ヨーロッパ各国では、例えばイギリスが2030年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止、ノルウェーやオランダは2030年から電気自動車と水素自動車のみを販売することを目標としています。そして、世界最大の自動車市場である中国も2035年に新車販売のすべてを電気自動車などの新エネルギー車に変換していくという方針を明らかにしました。こうして世界各国の動向を注目すると世界中で2030年から2035年には電気自動車へのシフトを明言していることになります。


「電気自動車の需要」

あわせて読みたい記事:【JAXA・デトネーションエンジン】宇宙開発と次期型戦闘機に搭載

国際エネルギー機関によれば、世界市場における電気自動車の需要は、大幅に拡大しており販売台数は2021年で660万台となっています。この販売台数は新車の販売台数の約8.6%を占めています。2019年には2.5%、2020年には4.2%だったという数字からすると電気自動車の販売台数は毎年倍増していいると言っても過言ではありません。これは、電気自動車が成長段階に入ったと言えるのかもしれません。


「電気自動車の駆動エネルギーであるレアアース」

あわせて読みたい記事:【IHI製XF9エンジン】自衛隊次期主力戦闘機F3/無人機に搭載

電気自動車の動力は、モーターを使用していますが、その力は「磁石」の力で回転しています。しかし、この「磁石」には問題もあります。それは、「磁石」は高温になると磁力が低下してしまい、一定の温度を超えるとモーターが停止してしまうという問題です。ところが走行中の電気自動車のモーターともなれば、100℃以上の過酷な高温環境で使用されるモーターです。そこで、電気自動車で使用される「磁石」には耐熱性を高めるために「ジスプロシウム」や「テルビウム」などの「レアアース」を10%ほど添加して磁力の低下を抑えているのです。「レアアース」は日本語で「希土類元素」や「重希土類元素」と呼ばれるもので、産出量が少なく希少価値があるレアメタル(希少金属)の一種です。全部で17種類あり少量加えるだけで素材の性能を飛躍的に高めるために「産業のビタミン」とも言われている素材なのです。そして、この「レアアース」は、中国が世界の生産量の約60%を占めています。埋蔵量で考えると、中国が37%、ベトナムが18%、ブラジルも18%、ロシアが10%となっています。


「デンソー製レアアースフリー窒化脱窒素法とは」

あわせて読みたい記事:【グリーン燃料水素自動車】トヨタFCV車が電気自動車を超える性能

2010年に日本の尖閣諸島の領海に侵入した中国漁船が海上保安庁の船舶に対して突進を繰り返し海上保安庁は中国船員を逮捕するという事件が発生しました。この報復として日本に対して「レアアース」の輸出制限を行いました。この当時、日本は「レアアース」を中国に依存していたために厳しい状況になりました。しかし、日本は世界で初めて「レアアース」を不要とする磁石を発明したのです。2017年10月18日に「株式会社デンソー」が「鉄とニッケルが原子レベルで規則配列した超格子磁石材料の高純度合成」に世界で初めて成功したことを発表したのでした。これは、鉄とニッケルの原子を規則正しく配列することで、現在の電気自動車に使用されている「レアアース」を使った磁石以上の性能が出せるという技術なのです。通常は、鉄とニッケルの合金は磁石としての性質を持っていませんが、原子レベルで鉄とニッケルの配列を規則化する超格子構造によって耐熱性に優れた磁石にすることに成功したということです。自然界でも鉄とニッケルの磁石化は可能ですが10億年以上の時間を要するというのです。それを「デンソー」は「窒化脱窒素法」という技術を開発することによって短時間で合成することに成功したのです。しかも、この製法は窒素ガスとの反応を用いたプロセスであるために工業的な生産も優れており、「デンソー」は5年~10年以内に実用化する方針を発表しています。そのために、最初に小型モーターでの採用を目指し、将来的には電気自動車用のモーター向けの実用化を視野に入れているということです。


「ホンダと大同特殊鋼の特殊技術とは」

あわせて読みたい記事:【東芝・SCiB】チタン酸リチウム電池で世界EV市場で需要拡大

2016年には「本田技研工業」も「大同特殊鋼」と共同で電気自動車に不可欠な重希土類である「ジスプロシウム」と「テルビウム」を使用しない磁石の開発に成功したことを発表しています。この技術は「デンソー」と開発の方向性が異なっていますが、2つ技術で開発されました。

1:「大同特殊鋼・熱間加工法」:量産には向きませんが、磁石の粒子を小さくすることによって耐熱性を高めることに成功した技術。

2:「モーターの製造技術」:モーターの内部の磁石の配列を変えたり、磁石の周りに小さな穴を開けるなど形状を変えたりすることによって耐熱性を向上させることに成功した技術。

この技術によって開発されたモーターは実用化されており、ハイブリッド車の「フリード」や「インサイト」に搭載されています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事

  1. 2022 03.07

    Hello world!

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

カテゴリー

管理人:TMM

管理人:TMM

未来に残したい、繋げたいをテーマに日々を過ごすことに夢中。そのテーマに自然界、歴史、科学、教育など、あらゆる方面から未来と過去を行き来出来たら、現在どうなっているか、これから先どうなるのか気になることが多く、今更ながら様々な分野を勉強中。