【住友電気工業】永久電流の超電導接合・iGS®接合/NMR装置

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【住友電気工業】永久電流の超電導接合・iGS®接合/NMR装置

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「超電導接合」という世界でも困難極まる技術を日本が成功させていたことが明らかになりました。世界でもライバルというのは、現在のところ存在しておらず今後、電子産業や医療産業においての活躍が期待されている技術です。この技術は脱炭素カーボンニュートラルが注目され、再生可能エネルギー、エネルギー資源の開発が急務とされている世界のエネルギー情勢において、現在そして今後の世界にとってとても重要な情報と言えるでしょう。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、永久電流が可能となる「超電導接合・iGS®接合/NMR装置」に注目します。


「永久電流とは?」

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「永久電流」とは、「超電導」、「超電導磁石」と呼ばれている状態のコイルに電流を流すと外部から電力を供給しなくても半永久的に電流が流れるというものです。これを「永久電流」という電流として呼んでいるのです。その仕組みというのは、まず、特定の金属などを極めて低い温度に冷却すると電気抵抗がゼロになります。この現象は「超電導現象」と呼ばれています。この「超電導現象」である電気抵抗がゼロになった物質を「超電導体」と呼びます。その「超電導体」となったものをコイルにした「超電導磁石」に大きな電流を与えると、他では得られないほどの強力な磁場(磁石や電流の周りに生じる磁気力が作用する場所)が得られます。そして、「永久電流」の研究で「理化学研究所」が「永久電流」を「電磁石」に2年間流し続けた結果、計算上では磁場が300万年も発生し続けることが実証されたのです。これが、外部から電流供給なしで300万年も安定的な「永久電流」を維持できることが明らかになったということなのです。さらに、この「永久電流」の運転が2年間成功したのは世界で初めてのことでした。


「永久電流が困難を極める理由」

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「永久電流」の成功が難しく、困難を極める理由があります。

1:「高温超伝導体」の線材同士を電気抵抗のない状態でつなぐ「超電導接合」と呼ばれている接合技術が問題となっていました。現在実用化されている技術の一つに「低温超伝導体」と呼ばれる「超電導体」があります。これは、線材が針金のようなものです。しかし、「高温超伝導体」の線材はセラミックスで、線材は薄い金属テープの表面に「高温超伝導体」を付着させています。線材をつなぐ接合技術においては「低温超伝導体」で使った同じ接合技術が「高温超伝導体」では使うことが出来ないのです。そこで、2017年に「住友電気工業」の研究チームが世界で初めて「高温超伝導体」の実用的な接合技術「iGS®接合」を開発したのです。その後、2018年に「高温超伝導接合」を実装した「NMR装置」の開発に世界で初めて成功したのです。さらに、この技術を使って「住友電気工業」と「理化学研究所」は、「永久電流スイッチ」を作りました。外部電源から切り離した状態で磁石状態を保つには、超伝導コイルの両端を電気的に閉じるスイッチが必要となります。このスイッチによって電気抵抗のない「超電導接合」が実現できたのです。


「低温超伝導と高温超伝導の違いを比較」

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「低温超伝導」は金属系でマイナス269℃まで冷却しなければ、「超電導状態」である電気抵抗のないゼロにはならないのです。また寒剤として液体ヘリウム(医療現場でMRIや光ファイバー、半導体デバイス製造などに使用されています)を使用します。ニオブチタン合金を使用した「超電導磁石」を使用し、液体ヘリウムで冷却しています。

「高温超伝導」は、鋼酸化物系でマイナス196℃以上でも「超電導状態」になります。マイナス180℃~140℃くらいの温度でヘリウムは使用しません。その代わりに液体窒素を使用します。この点は非常に大きな意味を持ちます。ヘリウムと比較すると約5分の1で窒素ガスは利用することが出来、生産コストや運転コストの削減につながるからです。


「海外の超電導接続技術の動向」

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NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が行う「高温超伝導実用化促進技術開発プロジェクト」は2020年までの5年間、海外の開発進捗を注視していました。「超電導接続技術」においては、韓国で「超電導線材」同士の直接接合技術に関する発表がありました。また、アメリカに本社を構える「ブルッカー社」が、自社の「NMR装置」で「超電導接続技術」を用いているという発表がありました。


「超高磁場NMR装置」

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「高温超伝導接続技術」の開発が成功し技術が進歩することによって実現が期待されているのが、「超高磁場NMR装置」というものです。超電導素材料の世界市場の年平均成長率(CAGR)は、2015年から2020年にかけて約14%、電子産業や医療産業自体が世界的に見て大きく成長しています。それゆえに世界の超電導材料の市場は、今後5年間で急成長するとの見方が多く予想されています。


「超電導ケーブルシステム」

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実のところ日本は、「超電導ケーブル」による送電の実証実験にも成功しています。これは、超電導状態の維持に欠かせない液体窒素によるケーブル冷却がシステムの信頼性と安全性を実証したことを示しています。従来と比較すると、送電時の損失を95%以上削減することが可能ということが明らかになりました。またCO²排出量の削減効果も確認することが出来て、「超電導ケーブルシステム」が効率的な送電システムとして脱炭素社会に貢献できることを証明したのです。

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管理人:TMM

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未来に残したい、繋げたいをテーマに日々を過ごすことに夢中。そのテーマに自然界、歴史、科学、教育など、あらゆる方面から未来と過去を行き来出来たら、現在どうなっているか、これから先どうなるのか気になることが多く、今更ながら様々な分野を勉強中。