【ノベルクリスタルテクノロジー社】Ga203酸化ガリウム半導体

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【ノベルクリスタルテクノロジー社】Ga203酸化ガリウム半導体

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近年、持続可能再生可能エネルギーの普及、自動車業界のEV化に始まり、家電やデジタル機器など世界的に半導体不足が深刻化しており、原材料となるリチウムの争奪戦となり高騰しています。使用されている「パワー半導体」の役割と言えば、主にスイッチング機能で電力の変換に使用されています。直流の電気を交流に変換したり交流の電気を直流に変換したりする役割です。太陽光発電の発電電力は直流です。これを送電網に送るためには交流に変換する必要があるのです。さらに電気自動車の急速充電や駆動用インバーターとしても「パワー半導体」が使用されているのです。電動化していくにあたって必須となるのが「パワー半導体」でそのような中、「パワー半導体」の材料に注目が集まっています。それは「酸化ガリウム」。この「酸化ガリウム」は、日本で開発に注力されており進められている素材です。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、次世代パワー半導体の材料である「酸化ガリウム」に注目します。


「4インチ酸化ガリウムエピウエハとは」

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「酸化ガリウム」の開発において有名なのが日本の埼玉県の「ノベルクリスタルテクノロジー」は、4インチ、100ミリメートルの「Ga203・酸化ガリウムエピウエハ」を2025年を目標に年2万枚量産できる体制を整えると発表しました。この「ノベルクリスタルテクノロジー」は、「タムラ製作所」の子会社で「酸化ガリウム」の普及拡大の目的に2015年に設立されました。そして、「ノベルクリスタルテクノロジー」は、「4インチ酸化ガリウムウエハー」の量産化に世界で初めて成功した企業です。今回発表した量産体制整備によって「パワー半導体」の材料である「酸化ガリウム」の材料コストを改善できるということが期待されています。


「パワー半導体における酸化ガリウムの優位性とは」

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「酸化ガリウム」は発光ダイオード基板への用途を見込んで研究されていました。しかし、現在は次世代パワー半導体の材料として開発が進められています。現在の「パワー半導体」は主に「Si・シリコン」が使用されています。そして、次世代パワー半導体の材料として「SiC・炭化ケイ素」、「GaN・窒化ガリウム」、「Ga203・酸化ガリウム」が注目されています。これらの素材はシリコンよりも高い性能を持っており、それを評価した指標として「バリガ性能指数」があります。この「バリガ性能指数」はシリコンに対する半導体物質の性能を表す数値で、シリコンを「1」として表記されます。次世代パワー半導体の材料の「バリガ性能指数」は、下記のとおりです。

「SiC・炭化ケイ素」:340

「GaN・窒化ガリウム」:870

「Ga203・酸化ガリウム」:3444


「酸化ガリウムパワー半導体の特性とは」

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電流の「ON・OFF」をする役割が「パワー半導体」です。「パワー半導体」は大電流のスイッチングに特化しており大きな電圧に耐えることや大きな電流を流せるという特性を持っています。そして、「パワー半導体」の性能を評価する指標の一つが「バンドギャップ」です。この「バンドギャップ」とは価電子帯の電子と伝導帯の電子とエネルギー差のことです。「バンドギャップ」が大きいほど高耐圧化や低損失化、スイッチングスピードの高速化、デバイスの小型化など高性能な「パワー半導体」を製造することができるのです。下記は「バンドギャップ」の比較です。

「シリコン」:1.1eV

「SiC・炭化ケイ素」:3.3eV

「GaN・窒化ガリウム」:3.4eV

「Ga203・酸化ガリウム」:5.3eV

これらの性能に加えて「酸化ガリウムパワー半導体」は製造コストを抑える可能性もあるのです。「SiC・炭化ケイ素」、「GaN・窒化ガリウム」は製造コストが高くなるという問題を抱えています。しかし、「Ga203・酸化ガリウム」はシリコンやサファイアと同じように融液からバルク単結晶を成長させられるという特徴を持っています。


「成膜装置の大口径化」

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世界で初めて成功したのが、成膜の6インチ化です。これは、「大陽日酸」が「東京農業大学」、「ノベルクリスタルテクノロジー」と共同で「酸化ガリウム」を6インチウエハ上に成膜することに世界で初めて成功しています。このことによって成膜コストが課題となっていた「酸化ガリウムエピウエハ」の大口径、低コスト化が実現されると期待されているのです。このエピウエハの大口径化による「酸化ガリウムパワー半導体」の低コスト化は実用化に向けた量産化を進めることになります。


「酸化ガリウムパワー半導体によるデバイスの省電力化」

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このデバイスの省電力化は2030年時点で21万kL/年程度と見込まれています。今後は、「パワー半導体」の市場は増加していくと予測されています。2020年の世界市場規模は約2兆8000億円であるのに対し、2030年には「パワー半導体」の世界市場規模が約4兆円にまで成長すると考えられています。そして、とりわけ成長が見込まれているのが「酸化ガリウムパワー半導体」です。次世代パワー半導体の2019年の市場規模は、「Siパワー半導体」が436億円、「GaNパワー半導体」が19億円に対して「酸化ガリウム軽パワー半導体」は「極小」でほぼ市場がありませんでした。しかし、2030年には「Siパワー半導体」が2009億円、「GaNパワー半導体」が232億円に対して「酸化ガリウム軽パワー半導体」は590億円にまで成長が予測されています。


「酸化ガリウムパワー半導体のデメリット」

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非常に高い性能を持っている「酸化ガリウム」ですが、デメリットとして熱伝導率に問題があります。下記は熱伝導率についての比較です。

「シリコン」:150W/m/K

「炭化ケイ素」:490W/m/K

「酸化ガリウム」:20W/m/K

パワー半導体の発熱量は非常に大きいのが特徴です。それゆえにパワー半導体の材料の熱伝導率が小さいと熱暴走が生じる恐れがあるという課題があるのです。そのため熱伝導率の小さい「酸化ガリウム」をパワー半導体の材料として利用するときには、放熱効率を向上させる必要があるのです。そこで「酸化ガリウム」の課題となっている放熱効率の低さを解決するために熱伝導率の高い材料と複合化した「ウエハ」の開発が進められているのです。この方法として「酸化ガリウム」の極薄化が検討されています。「酸化ガリウム」を極薄化し熱伝導率の高いダイヤモンドやSiCに原子レベルで結合させる研究が進められているのです。この研究によって技術が完成すると高出力が可能となり、省エネ効果も大きい次世代パワー半導体が実現できるということになります。

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管理人:TMM

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未来に残したい、繋げたいをテーマに日々を過ごすことに夢中。そのテーマに自然界、歴史、科学、教育など、あらゆる方面から未来と過去を行き来出来たら、現在どうなっているか、これから先どうなるのか気になることが多く、今更ながら様々な分野を勉強中。