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【原子力発電船】3ⅮプリンターMSR核融合炉搭載の開発スペック
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世界中で次世代エネルギーの開発が進められており、脱炭素、カーボンニュートラル推進が進んでいます。そのような中、日本はエネルギー資源に乏しいと言われていますが、開発技術においては世界屈指の国。エネルギー資源を活用するべく過去においては、原子力船の試作機を製造したこともありました。そして、最近では世界においてトップレベルで開発が進んでいる「核融合炉」を搭載した原子力船の開発も進められているということです。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、「核融合炉」を搭載した「原子力船」である「原子力発電船」に注目します。
「原子力発電船の注目度」
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今回、注目する「原子力発電船」は、まだ日本独自で開発し造船されているわけではありません。実のところイギリスの「コア・パワー・エネルギー」が日本の企業と交渉している状況です。これは今後、日本の造船業や海運業と協働で、国土交通省や業界団体も含めて進められていくということです。
「原子力発電船の安全性」
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「原子力発電船」ということで、安全性に対する懸念も出ているようですが、心配はないようです。この「原子力発電船」は安全炉と言われている「溶融塩炉(MSR)」を使用しているので問題はないということです。つまりは核燃料を液体にする「液体燃料炉」と呼ばれているタイプが使用されているということです。これは、核燃料は数百度で液体になる性質があり、それゆえに圧力が必要なく液体燃料ゆえに余剰反応が起こらず安全だということです。もしも、事故が起きた場合でも、重力で液体燃料を下のタンクに分離できる設計となっているので再臨界事故を防ぐことが出来るということです。また透明で目視できるように設計されており、確認も容易ということです。さらに「緊急時計画区域(EPZ)」が「km」から「m」に単位を狭めることも可能になっているということです。
「原子力発電船の発電量やスペック」
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発電出力は、原子炉1基から100万㎾出力可能ということですが、この「原子力発電船」は最大で120万㎾出力を可能としています。建造期間は、原子炉1基につき10年ほど期間を要するということです。しかし、「原子力発電船」は造船所で建造するために1年で10基も建造が可能ということです。収益についても良い結果が得られるようで、年間で1800億円ほどのプラス収益が可能ということです。さらにメルトダウンや爆発といった危険性もありません。このことに加えて、補給なしで30年ほど航行することが可能で、燃料タンクを船内に作る必要もないことから貨物の積載量も向上させることが出来るということです。また飲料水の確保が難しい地域で、海水を真水にする淡水化プラントや雇用を作ることも可能となります。そして、海水から水素やアンモニアを作る方法とも合理的で水素やアンモニアプラントを周辺に作る「海上生産プラットフォーム」という構想も出てきているということです。
「海外の原子力発電船の開発状況」
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デンマークの「Seaborg Technologies」という会社は、アメリカの認定機関の最初のステージを早くもクリアしているということです。しかも、2025年までに量産化を目指しており、東南アジアなどの経済が成長している地域をターゲットにしているということです。それでもスペックは、2基の原子炉を搭載しても発電出力は20万㎾ということでスペックとしてはあまり高くないようです。他にもロシアの「ロスアトム」があります。この会社は国営企業でレンタル事業に進出しています。実は、この会社は世界で唯一実用化しており、2020年に稼働しています。しかし、スペックは最大発電出力7万㎾ということです。またアメリカは世界初の原子船「サバンナ」を運行していました。この「サバンナ」は原子力貨物船の商船です。しかし、1960年に核燃料が取り除かれて2013年に国立歴史的建造物に登録されています。これは平和のために原子力を使用するという目的があったために造船された原子力船でした。
「原子力発電船のメリットとデメリット」
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今回、注目している「原子力発電船」は、洋上の石油や天然ガスの生産設備の動力源にできるというメリットもあります。しかしながらテロという恐ろしいことに使用される可能性も否定できません。それでも、核兵器への転用はできないようになっているようです。また、「原子力発電船」は海上を移動できるゆえに外交のカードとして使用されることも指摘されている点です。加えて、接岸した状態で利用されるために岸壁が送電線で埋め尽くされてしまう可能性や陸上プラントと一緒に港湾が占拠されてしまう可能性もあります。
「過去の日本の原子力船むつ」
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日本の原子力船には、1969年に青森県で就航した「むつ」が建造されています。しかしながら時代的に日本は水力発電から火力発電に転換する技術がある程度だったようで、原子力船の技術自体はレベルが低い状況でした。それゆえに放射能漏れなどの事故が多発していました。
「日本の原子力発電船の開発状況」
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ノルウェー船級協会は、日本の造船の「ジャパンマリンユナイテッド」や海運の「日本郵船」と協働で「核融合炉」を搭載した原子力船の開発を行っていることを発表しています。また日本は、縮尺模型で「核融合炉」を3Ⅾプリンターで設計することに成功しています。「自然科学研究機構核融合科学研究所」という所では「ヘリカル方式」の開発が成功したとも発表されています。
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