【日立造船】メタネーション技術によるカーボンニュートラル天然ガス

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【日立造船】メタネーション技術によるカーボンニュートラル天然ガス

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世界的にカーボンニュートラルが推進されて様々な技術開発が進められていますが、そもそも「カーボンニュートラル」という言葉の意味とは何でしょうか。これは、二酸化炭素をゼロにするという意味ではありません。CO²などの温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味している言葉です。ですからCO²の排出量を減少させることに加えて、吸収量を多くすることでもカーボンニュートラルにつながるということです。この点で、新しい技術として「メタネーション」という技術が注目されています。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、「日立造船」が実証実験を行い世界的に注目されている「メタネーション」の技術に注目します。


「メタネーションとは」

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「メタネーション」とは、二酸化炭素(CO²)と水素(H2)を反応させて天然ガスの主成分であるメタンガス(CH4)を生成することを意味しています。メタンは、燃焼時にもCO²を排出します。しかしながら、「メタネーション」の原料として工場や発電所などから回収したCO²を使用すれば、この排出量は回収量と相殺されるのです。「メタネーション」で作られたカーボンニュートラルのメタンの利用では大気中のCO²を増加させないことになります。排出されたCO²から燃料を作り出す、という技術です。


「日立造船のメタネーション技術開発」

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2022年6月、インフラやエネルギー事業を展開する「日立造船」が、ごみ処理場から排出される二酸化炭素を水素と反応させてメタンを生成する「の実証運転を開始しました。実のところ、ごみ処理施設で排出されるCO²を活用した「メタネーション」は世界初の技術です。生成されるメタンは天然ガスの主成分となっています。これは、都市ガスの成分である天然メタンと性能がほぼ同じということです。これによって将来、都市ガスに替わるエネルギーとして期待されているのです。神奈川県小田原市にある「環境事業センター」内において行われている実証実験では、「液化天然ガス(LPG)」を改良して製造された水素を使用しており、メタンの製造能力は毎時125ノルマル立方メートルと発表されています。そして「メタネーション」を一年間実施した場合、約1650トンのCO²を回収できると予想されています。しかしながら、日本の二酸化炭素排出量は世界でもトップクラスとなっており、2019年において排出量は世界で5位の10.7億トンという数字が記録されています。このことを考慮すると、回収量が1650トンということは、年間排出量の約0.00015%にしか相当しないこととなります。まだまだ開発が必要であることは明らかです。「日立造船」の開発センター長である「大地佐智子」理事長は、「脱炭素社会でのごみ処理場の存在感を高めたい」というコメントを述べ、この実証は8月まで続けるということを公表しました。


「メタネーションのメリットや可能性」

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「メタネーション」の大きなメリットは、下記のようなものを挙げることが出来ます。

1:生成する天然ガスがクリーンなエネルギー資源ということを挙げることが出来ます。二酸化炭素について、天然ガスの場合は石炭の半分ほどの排出量で石油よりも排出量が少なくなります。窒素酸化物は、石炭の3分の1程度の排出量となります。硫黄酸化物については燃焼時に排出されないというメリットがあるのです。こうしたことから天然ガスは燃焼時の環境への悪影響が少ないクリーンなエネルギー資源として脱炭素化に有力な選択肢となります。

2:既存の都市ガスのインフラを利用できる。「メタネーション」の生成するガスはメタンで都市ガスの主成分です。これによって新たにインフラ設備を作る必要がなく一般家庭に供給が出来ます。都市ガスのパイプは、ほとんどが地面に埋設されています。そのため豪雨や台風といった災害など自然災害による影響を受けにくいとされています。自然災害の際に他のインフラと比較すると支障が出た件数が非常に少なくなっているという結果が出ています。また都市ガスのパイプは地震にも強いとされており、多少の揺れでも破損しないように作られています。こうしたことからメタンを作ることは供給が安定するという意味でメリットとされています。


「メタネーションの課題点とは」

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「メタネーション」の生成は二酸化炭素を吸収してメタンを作るために課題もあります。それは、「メタネーション」には再生エネルギーを用いて生成する水素である「グリーン水素」が必要となるということです。また「メタネーション」に必要な水素を製造するためには大量の電気を必要とします。この電気が火力発電のような二酸化炭素を排出する工程を通ってきているのであれば、全体として二酸化炭素の排出量を均衡させるということは困難なこととなります。実際、2021年の日本の再生可能エネルギー率は約18%となっており、化石燃料による発電に頼っているのが現状です。「メタネーション」に使用する水素の生成が、化石燃料で発電された電力を使用していることが問題点と言えます。さらに課題となっているのは製造コストです。「メタネーション」によって作り出されるカーボンニュートラルのメタンは、複数の特殊な工程を経緯しています。そのためにガス田から採掘される天然ガスよりもコストが増加してしまうのです。そうなってくると都市ガスの代替品としての需要は少なくなってしまいます。


「天然ガスのカーボンニュートラルの必要性」

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日本におけるエネルギー消費の約60%が工場や家庭の暖房利用による「熱需要」によるものとなっています。この事実を脱炭素化するかというのが、最も重要な課題と言えるでしょう。そして「熱需要」は、一般家庭で使用されるような低い温度から工場で使用される高い温度域まで幅広く存在しています。ガスは様々な温度範囲に対応して熱を生み出すことのできるエネルギー資源です。天然ガスは、石炭や石油と比較するとクリーンなエネルギー資源です。これは、エネルギー資源として石炭や石油と置き換えるだけでも脱炭素化を実現することが出来ることとなります。


「メタネーションの世代熱エネルギー産業の目標とは」

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「メタネーション」は、2021年6月に「経済産業省」によって策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うクリーン戦略」において「次世代熱エネルギー産業」と位置付けられています。今後、天然ガスを「メタネーション」で生成された合成メタンに置き換えていくうえでの導入量と供給コストの目標も同時に定められています。その目標は「2030年までに既存のインフラに合成メタン1%(年間28万トン)を導入し、2050年までに導入割合を90%(年間2,500万トン)まで引き上げる」というものです。2050年までに目標を達成することが出来れば、年間8,000万トンのCO²削減効果があると予想されています。また供給コストにおいては、「液化メタンガス(LMG)」の価格と同程度にすることを目指すとされています。

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管理人:TMM

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未来に残したい、繋げたいをテーマに日々を過ごすことに夢中。そのテーマに自然界、歴史、科学、教育など、あらゆる方面から未来と過去を行き来出来たら、現在どうなっているか、これから先どうなるのか気になることが多く、今更ながら様々な分野を勉強中。