【JAXA・デトネーションエンジン】宇宙開発と次期型戦闘機に搭載

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【JAXA・デトネーションエンジン】宇宙開発と次期型戦闘機に搭載

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新しい技術革新の分野として注目されているのが「宇宙開発」の分野でしょう。「宇宙旅行」、「宇宙探索」、「火星移住計画」など様々なプロジェクトが世界中で進んでいます。そうした中で日本が開発した「宇宙開発」分野において重要なパワーユニットの新型が発表されました。それは、「デトネーションエンジン」というものです。世界初の宇宙飛行実証の成功ということで注目となっています。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、「デトネーションエンジン」に注目です。


「デトネーションエンジンの開発」

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「デトネーションエンジン」の着想というものは1950年代末から1960年代初めにロケットエンジンの開発に取り組んでいた航空宇宙技術者たちが、問題を解決策に変える方法として構想したのが開発のスタートだったいうことです。日本においては「デトネーションエンジン」は2004年3月17日に「筑波大学」で「パルスデトネーションロケット」のシステム試験が実施され研究開発が続けられてきました。その開発の中で課題となっていたのが安定性でした。2000年代から開発進んだエンジンだったため安定性を調査するための数学モデルが開発されるなどされてきました。この数学モデルについては「ワシントン大学」の応用数学教授の「J・ネイサン・カッツ」氏が「回転デトネーションエンジンの多様で複雑な動力学を示すことが出来る現状唯一のモデル」とコメントしています。そして、今回、世界初として注目されている「デトネーションエンジン」ですが、開発に参加しているのは「名古屋大学」、「慶応義塾大学」、「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」、「室蘭工業大学」です。開発された「デトネーションエンジン」のシステムは、「観測ロケットS-520-31号機」のミッション部分搭載されています。「深宇宙探査用キックモーター」、「ロケットの初段・2段エンジン」など、「航空宇宙機用エンジン」の実用化に向けて開発されています。そして、2021年7月27日の午前5時30分にJAXA内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。この打ち上げは成功しており、世界初の「デトネーションエンジン」の宇宙飛行実証の成功ということになります。


「デトネーションエンジンのシステムとは」

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「デトネーションエンジン」のシステムに注目してみます。「デトネーション(detonation)」の意味は、日本語では「爆轟(ばくごう)」という意味です。これは、火炎の伝播速度が音速を超える爆発的な燃焼現象のことを指して用いられています。「デトネーションエンジン」は、この現象を応用して推進剤を燃焼させるロケットエンジンです。今回成功した世界初の実験では、衝撃波を一定間隔で次々と発生させる、「パルスデトネーションエンジン(PDE)」と円筒構造内で衝撃波を回転させて連続して発生させる「回転デトネーションエンジン(RDE)」を組み合わせたシステムが使用されています。

「パルスデトネーションエンジン(PDE)」:「パルスデトネーション」の燃焼器は片側が閉じた筒状の構造となっています。内部に満たされた推進剤に点火するとデトネーション波が生じて、高速で推進剤が燃焼。そして、この時に発生する不燃焼ガスは燃焼器から排出し、新たに充填した推進剤に再び点火することを繰り返します。これら連続的に燃焼を繰り返すシステムが「パルスデトネーションエンジン」です。

「回転デトネーションエンジン(RDE)」:燃焼器が片側が閉じた二重の円筒構造となっています。デトネーション波は、外側と内側の筒の間を回転するように連続的に伝播して推進剤の燃焼によって生じたガスは円筒の軸方向に噴出していきます。回転させながら推力を連続的に得られるのが、「回転デトネーションエンジン」ということになります。


「デトネーションエンジンの特徴とは」

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「デトネーションエンジン」の特徴として挙げられるのが、軽量化と高性能化という部分です。従来型のエンジンは燃料の圧縮と燃焼を別々に行っています。しかし、「デトネーションエンジン」は燃料圧縮と燃焼を同時に行っています。そうすることで発生するエネルギーを増大させることができ、高性能化しています。その伝播速度は秒速2km(時速:7200km)となっており、可燃性ガスの燃焼速度が大幅に上がっています。これはハイパワー化されているともいえます。またエンジンとしても従来型ロケットエンジンと比較して軽量化されています。これによって積載能力が向上しています。


「デトネーションエンジンによる宇宙開発への影響」

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「デトネーションエンジン」の開発が進み、実証実験が成功したことで宇宙開発に多大な影響を与えることになりました。まず、これまで到達できなかった天体への探索。名古屋大学未来材料・システム研究所の「笠原次郎」教授は、「実用化されれば、人類の宇宙開発を大きく飛躍させる。より安全に長時間の稼働に耐えうるものにしていく。簡単には私たちの技術をまねすることはできない。世界の先頭を走っている。このシステムを搭載したロケットが月や火星のさらに向こう側へ飛ぶようになれば、いずれは太陽系外の惑星の探査も可能になるだろう。」とコメントしています。今後、早ければ2024年7月に再びロケットによる実証実験を行う予定のようです。次回の目標は、より長時間の飛行の実現で初回に使用したガス燃料より体積を小さく、大量に積載できる液体燃料に切り替える飛行実験となっています。次回の目標が達成され成功できるならば、地球周回軌道上での実証実験を行う段階に進む予定です。


「デトネーションエンジンの応用」

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「デトネーションエンジン」は、宇宙開発の分野だけでなく速さが求められる戦闘機の応用にも使用が考慮されています。「アメリカ海軍調査研究所」は流体力学シミュレーションで参加し「このような研究は斜めデトネーションのような複雑な現象に対する理解を深め、エンジニアリングスケールのシステム開発を進めるために重要。今回の研究は、シミュレーションと実験の両方の領域を押し広げている。」とコメントしています。「デトネーションエンジン」を飛行機に転用した場合は、飛行速度は「マッハ6~17」のスピードとなると予想されています。アメリカ空軍は、2025年までにデトネーションの原理を活用した飛行機の初飛行を目標としているようです。

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未来に残したい、繋げたいをテーマに日々を過ごすことに夢中。そのテーマに自然界、歴史、科学、教育など、あらゆる方面から未来と過去を行き来出来たら、現在どうなっているか、これから先どうなるのか気になることが多く、今更ながら様々な分野を勉強中。