【ポイント・ネモ】人工衛星落下地点である陸から最も離れた海の場所

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【ポイント・ネモ】人工衛星落下地点である陸から最も離れた海の場所

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宇宙の中で美しく、そして生命が宿る惑星が地球。遥か彼方まで続く宇宙の中でも生命が存続していることは希有の存在です。それは、太陽からの距離、公転する起動、地球の自転や傾き、月の存在など、解明されている事実だけでも奇跡と呼べる存在ではないでしょうか。そして、この地球に目を向けると多種多様な生物が存在しており、今なお新種と呼ばれる生物が数多く発見されています。とりわけ地球の大半の割合を占める水の中には未知数の生命が宿っており、深海も謎に包まれている状況です。では、日本の南に位置している大海、太平洋の中心には一体何があるのでしょうか。実は過去から「地球上の海で最も死んでいる場所」とか2031年の計画から「人工衛星の墓場」などとも呼ばれている「ポイント・ネモ」という場所があります。今回の「TimeMachineMuseum」では、太平洋の中心に位置している「ポイント・ネモ」に注目します。


「ポイント・ネモの発見」

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「ポイント・ネモ」と呼ばれる位置は、地球内の海の中で陸地から最も離れた場所です。ここに到達することはできるのか、そして、到達できるならば「ポイント・ネモ」という場所は一体どのようなところなのか。興味深いことです。この「ポイント・ネモ」と呼ばれるのはラテン語で「無人」を意味する「ネモ」と小説「海底20,000マイル」に登場する船長に因んで名づけられています。ちなみに、ここを最初に発見したのはクロアチア系カナダ人の測量技師である「ヘルヴォエ・ルカテラ」によって発見されたのでした。発見は20世紀の1992年のことです。しかし、面白いことに「ヘルヴォエ・ルカテラ」は、「ポイント・ネモ」に実際に行って見たわけではないのです。発見に至った経緯は、世界中のすべての海岸線から最も遠い場所をプログラムによって求めることによって発見したに過ぎないのです。その彼が「ポイント・ネモ」の名付け親でもあります。


「ポイント・ネモの位置」

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2018年の研究によると「ポイント・ネモ」の位置は、「南緯48度52分5秒 西経123度23分6秒」でオセアニアのニュージーランドと南米のチリの間に位置している場所です。「ポイント・ネモ」から最も近い陸地は、北にある「デュシー島」、北東にある「モツ・ヌイ島」、南にある「マハー島」で、これら三つの島から2,700km離れているようです。ちなみに「デュシー島」と「マハー島」は直径が3kmにも満たない小さな無人島であり、「モツ・ヌイ島」はモアイで有名な「イースター島」のすぐ南西にある直径が200m程度の小さな島です。こうしたことからすると、人類の中で「ポイント・ネモ」に最も近いのは、2,700km以上離れた「イースター島」に住んでいる数千人の人々か、時折上空400kmに来訪する国際宇宙ステーションの乗組員しかいないと考えられます。ちなみに日本で例えるならば、沖縄県の宮古島から北海道の稚内までの直線距離にして約2,720kmですから、宮古島と稚内の距離を半径として一周させた空間内に、人間はおろか陸地さえ存在しないような場所ということになります。イースター島でさえ絶海の孤島と表現されることがあるので、さらにそこから2,700km以上も離れている「ポイント・ネモ」に到達した人間などいないと考えるかもしれません。しかし意外なことに世界を一周するヨットレースなどでは、「ポイント・ネモ」のすぐ近くを通り、極めて少数ではあるものの貨物船は日常的に「ポイント・ネモ」周辺の海を航行しています。それでも「0」といっても過言ではないほどに「ポイント・ネモ」に人が訪れることはありません。


「ポイント・ネモの生き方と状況」

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「ポイント・ネモ」に行くためには南米のチリかオセアニアのニュージーランドから出発すると、船で2週間とされています。ちなみに「ポイント・ネモ」への最短到達記録は船で15日と10時間37分ということです。この船旅についてですが、最初は荒波に遭遇するもののある地点からは、非常に穏やかな波、凪となるようです。これには、しっかりとした根拠があり、地球の自転の影響でニュージーランドから南極大陸、南米大陸を反時計回りに渦を巻くような海流、南太平洋還流が存在し、その還流の内側に風や海流が届くことは少なく、穏やかな海が広がりやすいということです。そして、「ポイント・ネモ」は南太平洋還流の中心付近に位置しています。上述したように「ポイント・ネモ」の位置は、「南緯48度52分5秒 西経123度23分6秒」です。この位置を日本に置き換えると北海道の稚内は「北緯45度」です。つまり「ポイント・ネモ」の位置は北半球の日本に置き換えると日本の最北端である稚内よりも高緯度に位置することになります。「ポイント・ネモ」の水温は平均7℃で一年を通じても水温は、あまり変化しないようです。そして、水深は約4kmとされています。


「ポイント・ネモの生物・生命体」

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ここに生息している生物は、どれほど存在しているのでしょうか。残念ながら生物は非常に少なく、見るものは少ないようです。これは、還流の影響と陸地から離れていることが影響しており、「ポイント・ネモ」の海水は栄養素が乏しいために結果としてプランクトンの数が少ないことが明らかになっているのです。つまりプランクトンが少ないために捕食する生物も少ないということになります。それゆえに「ポイント・ネモ」では、生物やプランクトンの「マリンスノー」も少なく、深さ4kmの海は海面から海底まで生物が少ないということです。実に「ポイント・ネモ」の海底では環境の外に位置している海底よりも微生物の数が、1,000分の1~10,000分の1程度しかいないということが明らかになっているようです。このように生物が非常に少ないために「ポイント・ネモ」は「地球上の海で最も死んでいる場所」と呼ばれることもあるようです。海底にわずかに存在する微生物は、熱水噴出孔などに集中していると考えられています。そして、太陽光に全く依存しない生態系が存在することが明らかになっています。例として「キワ・ヒルスタ」という生物が発見されていますが、体調が約15㎝の十脚甲殻類で巨大なはさみを含めた胸脚が毛皮のような白っぽい多くの毛でおおわれています。そのために別名「イエティ・クラブ」とも呼ばれています。ほかに目立ったものとして発見されているものは、人間が落下させた人工衛星の破片です。これは意図的なもので、陸地から限りなく遠い場所として、役目を終えた衛星を落下させるのに適切な場所であり、実際に旧ソビエト連邦のミールという宇宙ステーションをはじめとして、多くの衛星が落下しているということです。そして、現在運用中の国際宇宙ステーションも2031年には「ポイント・ネモ」の付近の海に落下する計画になっているのです。それで「ポイント・ネモ」の別名は「人工衛星の墓場」ともされています。

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管理人:TMM

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未来に残したい、繋げたいをテーマに日々を過ごすことに夢中。そのテーマに自然界、歴史、科学、教育など、あらゆる方面から未来と過去を行き来出来たら、現在どうなっているか、これから先どうなるのか気になることが多く、今更ながら様々な分野を勉強中。