【リラクタンスモーター】東芝三菱電機産業システムの新開発モータ

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【リラクタンスモーター】東芝三菱電機産業システムの新開発モータ

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世界中でカーボンニュートラルが推進されている中で、多くのものが電動化されています。生活の身近な機器も同様です。生活の中の家電で欠かすことのできない洗濯機や掃除機。実は、こうした家電で採用されているのが「リラクタンスモーター」というモーターです。もちろん工場などでも多用途に渡って様々なところで使用されています。実は「リラクタンスモーター」は省エネ効果や省資源効果が期待されています。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、「リラクタンスモーター」や新開発の「リラクタンス型永久磁石同期モーター」に注目します。


「リラクタンスモーターとは」

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「リラクタンスモーター」の構造や動作原理とは、どのようなものなのでしょうか。モーターには回転する部分がありますが、この回転部分は回転子と呼ばれています。一般的には磁石を利用して回転子を動作させていますが、「リラクタンスモーター」では回転子に磁石を使用していないという大きな違いがあります。磁石と鉄の関係から考えると、磁石を鉄に近づけると一定の距離から鉄は磁石に引き寄せられます。逆に距離が離れると引き寄せる力は消えていきます。実は、この磁石の原理を用いているのが「リラクタンスモーター」の仕組みです。「リラクタンスモーター」の回転子は、円筒状の円の中に内側に向かって多くの突起が均等に設けられた形状です。中心部は外側に向かって突起物が設けられています。そして、外側には電磁石が配置されており通電すると突起物がが近づいたり、離れたりすることで回転子が回転するという構造です。外側の電磁石をコントロールすることによって回転をコントロールします。これによって永久磁石を使用したモーターとは異なり、レアアースを含む磁石を使用する必要はなくなります。結果的に省エネ化を大幅に向上させることができるのです。


「リラクタンスモーターの特筆すべき特徴とは」

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「リラクタンスモーター」には大きく3つの特徴があります。

1「磁石を使用しない」:現在、世界中で使用されているモーターに使われている永久磁石にはレアアースという希少金属が含まれています。強力な磁石には、レアアースを添加することが必須とされています。しかしながら、レアアースは希少性から高騰していることもあり多くの企業はレアアースを使用しない方法を模索しているかもしれません。

2「高効率」:「リラクタンスモーター」は誘導モーターのように回転子に電流を流す必要はありません。回転子は巻き線などの二次導体がないためにエネルギーの損失が少ないという特徴があります。結果的にモーター全体の効率が高くなるのです。世界の電力消費のうち40%は、モーターによるものということです。日本においては55%の割合になるというデータがあるということです。

3「振動と騒音」:回転子とそれを引き寄せる電磁石である固定子が回転中に伸び縮みすることで発生してしまいます。しかし、昨今のモーター制御技術は著しい進化をしている状況です。世界中の各社で、問題の解決に努めており振動、騒音は昔に比べて小さくなってきています。


「三菱電機製の次世代リラクタンスモーター」

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「三菱電機」は世界初の技術を搭載した「リラクタンスモーター」を開発したことを発表しました。このモーターは電車に搭載することを想定されたもので世界最大級である450㎾もの高出力を実現したものになります。高出力化には「三菱電機」が独自で行っている磁気解析技術を使用し、回転子の構造を最適化したことで実現したのです。さらにモーターを回すインバーターの制御技術も新開発しています。これらの技術があるからこそ変速が必要な電車に搭載することが可能となったのです。2021年6月に日比谷線に搭載した検証試験を完了したことが話題となりました。検証結果は、従来の「三菱電機」のモーターが最高効率95%であったのに対して、今回の新型の「リラクタンスモーター」で97%を達成しました。さらに「リラクタンスモーター」の課題となっている騒音については、既存システムと同等であることが明らかになっています。これらの結果というのは12回の夜間走行という短期間の試験走行で得られた結果にすぎません。今回の「リラクタンスモーター」の導入が進めば、電力逼迫問題の解決も近づくことでしょう。


「ウルトラプレミアム効率モーター」

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モーターというものには、区分が設けられており、効率によってIE1~IE5まで区分するように国際電気標準会議で規定されています。

「IE1」:標準効率、「IE2」:高効率「IE3」:プレミアム効率などと呼ばれています。そして、「IE4」:永久磁石を使用した一部のモーターでスーパープレミアム効率。

こうした区分の中、「東芝」と「三菱電機」の合併会社である「東芝三菱電機産業システム」が、「IE5」:ウルトラスーパープレミアム効率モーターを開発し発売しました。これがすなわち「リラクタンスモーター」と呼ばれているモーターなのです。これは産業用モーターの一つです。産業用モーターをIE5クラスに置き換えることで省エネ効果が期待できるということです。試算によれば、1年間休みなしで動くIE1モーターをIE5モーターに置き換えることで、1台当たり45万円以上の電力代を節約できるという結果となりました。産業用モーターを次世代型の「リラクタンスモーター」に置き換えることで省エネ効果と省資源効果も実現可能となることでしょう。


「テスラモーターズに採用されているリラクタンスモーター」

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実のところ、レアアースを使用の永久磁石を使用したモーターとリラクタンスモーターのいいとこどりをしたモーターが「リラクタンス型永久磁石同期モーター」というもので、電気自動車メーカーの「テスラモーターズ」に採用されています。また、「トヨタ自動車」のプリウスや「日産自動車」のリーフなど様々な電気自動車において「リラクタンス型永久磁石同期モーター」が採用されているのです。資源の面では、純粋な「リラクタンスモーター」には劣っています。それでも材料開発が進みレアアースフリーの強力な磁石が完成すると問題は解決するかもしれません。実際にレアアースを含まないフェライトという磁石を使い、高性能な「リラクタンスモーター」を開発しているメーカーもあるのです。それゆえに今後、「リラクタンス型永久磁石同期モーター」を含め、「リラクタンスモーター」どのように開発が進み世界のモーターに置き換わっていくのか注目です。

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管理人:TMM

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未来に残したい、繋げたいをテーマに日々を過ごすことに夢中。そのテーマに自然界、歴史、科学、教育など、あらゆる方面から未来と過去を行き来出来たら、現在どうなっているか、これから先どうなるのか気になることが多く、今更ながら様々な分野を勉強中。