【ヴィヴィオRX-R】実は新車カタログ以上のスペック詳細と価格

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【ヴィヴィオRX-R】実は新車カタログ以上のスペック詳細と価格

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自動車業界にあってカーボンニュートラル、脱炭素、EV自動車への加速の中で「エコ」、「快適性」、「安全性」などが問われる現代社会。その中にあって「馬力規制」という言葉は、今では無関係なことかもしれません。1980年代はエンジンパワー、スピードが求められたパワーウォーズ時代で各自動車メーカーがしのぎを削ってエンジン開発を行い、矢継ぎ早にエンジンスペック向上のためにエンジンの素材や構造、装備などを向上させ新型モデルを投入していました。1980年代後半になるとエンジンの出力は300PSオーバーも国産市販車として登場するのでは、と期待されていました。しかし、国産車のエンジン出力に対して「馬力規制」というものが発生しました。普通車は「280馬力規制」、軽自動車は「64馬力規制」というものです。それでも、馬力規制があるにもかかわらず、1980年代後半から衝突安全性や排気ガス規制が強化されていく中で個性やポテンシャルの高いモデルが登場していきました。1990年代になると「自主規制」されていたもののカタログ以上のスペックを潜めたポテンシャルの高い市販車が次々とデビュー。その中にはスポーツカーだけでなく軽自動車にも影響。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、1990年代から登場した軽自動車の過激モデルに注目します。今回は「スバル・ヴィヴィオRX-Rシリーズ」です。


「スバル・ヴィヴィオRX-R(1992年-1998年)」

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「スバル・レックス」の後継モデルとして登場したのが1992年3月にデビューした「スバル・ヴィヴィオ」です。エクステリアデザインは初代の「スバル・インプレッサ」を小さくしたようなデザイン。「RX-R」シリーズではボディサイズが、全長:3,295㎜、全幅:1,395㎜、全高:1,375㎜、トレッドはフロント:1,220㎜、リア:1,200㎜。車両重量:700㎏(FFモデル)750㎏(4WDモデル)。ホイールベース:2,310㎜。このボディサイズやホイールベースによって高剛性ボディ、低重心化、直進安定性の向上が図られていました。また当時は、軽自動車の衝突安全性は30km/hが基準でしたが「スバル・ヴィヴィオ」は小型乗用車の40km/hの規格と同等の基準を満たしていましたし、室内も広い空間が確保(ドライバーズ・ミニ/運転席側が広い)されていました。そのためにセンタートンネルが左にオフセットされた設計となっておりサイドブレーキも助手席側に寄せて設置されています。また「RX-R」シリーズは、センターアンテナ、大型フォグ付きの専用バンパー、エアダクト付きボンネット、サイドアンダースポイラー、ルーフエンドスポイラー、専用BBS製アルミホイール、専用デカール装着。またインテリアも専用のセミバケットシートやタコメーターも10,000RPMスケールが装備されていました。


「ヴィヴィオ・RX-Rのエンジン、パワートレインのカスタムやスペック」

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軽自動車のエンジンと言えば現在でも3気筒エンジンが主流ですが、「スバル・ヴィヴィオ」は4気筒エンジンの「EN07型」を搭載。排気量は、ボア:56.0㎜、ストローク:66.8㎜で658㏄。最上位グレードの「RX-R」は、高回転型エンジンでDOHC4バルブのヘッドに過給機スーパーチャージャーを装備し、圧縮比は9.0。エンジンは9,000rpm以上(RX‐RAは10,000rpmレブリミット)まで回り、カタログ上は最高出力:64PS/7,200rpm、最大トルク:9.0㎏‐m/4,000rpm(後期型は10.8㎏‐m/3,600rpm)を発生。後期型ではハイオク仕様のエンジンに変更。エンジンについてですが実際の測定で最高出力:80PS~90PS近く出ていたということです。インタークーラーは「初期型(高回転から)」、「中期型(中回転から)」、「後期型(低回転から)」とレスポンスの違いがあるようです。初期型インタークーラーは層が分厚く設計されているということです。またインタークーラーとエアクリーナーボックスのつなぎのパイプ(インタークーラーからの戻り)を塞ぐとリミッター解除されるという。またECUのマッピングに裏マップが存在しておりハイオクのガソリンを入れると裏マップになりリミッター解除され85PSオーバーの出力、トルクも12.0㎏‐mは確実と言われていたようです。型式はFFモデルが「KK3型」、4WDモデルが「KK4型」。

サスペンションシステムは4輪独立のストラットサスペンション(F:L型ロアアーム・ストラット/R:デュアルリンク・ストラット)、フロントベンチレーテッドディスクブレーキ、リアリーディングトレーディングドラムブレーキを装備。トランスミッションは5速MTのみ(1996年の後期型のE型はクラッチディスクを変更し強化型となっています)。専用のバケットシートや大型フォグランプも装備。ちなみに「RX-R」は、FF(前輪駆動)モデルと4WD(四輪駆動)モデルが設定されており、重量が軽いFFモデルを選ぶオーナーも多かったということです。またシンガポール経由で20台だけ左ハンドルのモデルが輸出されたようです。


「スバル・ヴィヴィオ」:ポテンシャル

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この「スバル・ヴィヴィオRX-R」は、当時の軽自動車としては前例のないニュルブルクリンクでテストを繰り返し行い、1991年はA型のFFモデルで9分54秒、1995年はC型のFFモデルでラップタイム9分44秒台を連発。筑波サーキットのテスト走行では1分13秒35という軽自動車最速タイムを記録しています。この記録は現在でも破られていないタイムです。最高速は、183km/h(リミッター解除済み)をマーク。これでも燃費は、16.8km/Ⅼ~18.2km/Ⅼという燃費。ちなみに「RX-R」はモータースポーツで輝かしい成績を残しています。1992年ではパリーモスクワー北京マラソンレイドに参戦。プロローグランでは三菱ワークスのパジェロを上回るタイムを記録。1993年WRCのサファリラリーに参戦。この時にドライバーとして参戦していたのが「コリン・マクレー」、「石田正史」、「パトリック・ジル」、「フランシスコ・ビラズナー」。サファリラリーでは総合12位、A5クラスで1位(パトリック・ジル)、2位(フランシスコ・ビラズナー)を獲得。また実際には「コリン・マクレー」がレース中に一時はトヨタワークスマシンの「セリカGT-Four」の前を走って総合4位を走行もしていたこともあった。しかし、フロントを岩にヒットさせてしまいリタイア。1993年WRC最終戦イギリスRACラリーではN1クラス優勝しています。


「ヴィヴィオ・RX-R S1」

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1992年9月に「スバル4WD20周年記念」として発売された「ヴィヴィオ・RX-R」の限定モデル。1993年7月には「富士重工40周年記念」としても発売されました。「ヴィヴィオ・RX-R」モデルでは初となるボディカラーとしてシルバーとなっています。またフロント熱線反射ガラス、サイドブロンズガラス、ケンウッドサウンドシステムを装備。


「ヴィヴィオ・RX-Rスペシャルバージョン」

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このモデルは1995年5月に発売された「サファリラリークラス優勝記念」として「ヴィヴィオ・RX-R」の200台限定モデル。STi/PIAA製のH3‐55WフォグランプにSTiのロゴ入れたフォグランプカバー、フジツボ製レガリスKマフラー、ケンウッドサウンドシステムを装備したモデル。


「ヴィヴィオRX-RA」

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1993年には、「RX-RA」という「RX-R」の競技ベースグレードも存在。サイズは、全長:3,295㎜、全幅:1,395㎜、全高:1,375㎜、トレッドはフロント:1,220㎜、リア:1,200㎜で車両重量:750㎏。ホイールベース:2,310㎜という1,000㏄コンパクトカーと同サイズで直進安定性も向上。このモデルは、基本的にエアコン、リモコンドアミラー、パワーウィンドウなどの快適装備を省き軽量化(RX-Rよりも20㎏軽量化)されたモデル。専用ECU、前期型の「A型」は、インタークーラーのパイピングが金属でエンジンは高回転型仕様(新車時の最高出力:80PSオーバー)。トランスミッションは4速クロスミッション。リア機械式LSD、高剛性ラテラルリンク、コイルスプリングのバネレート変更、専用減衰力設定ショックアブソーバーなど「RX-R」とは別物と言えるモデル。


「ヴィヴィオRX‐SS/ビストロSS」

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後期型となる1997年5月に登場したのが「ヴィヴィオRX‐SS」というモデル。世界初の「スポーツシフトECVT(6速マニュアルモード付)」を搭載した。エクステリアデザインは「RX-R」シリーズと共通。ボディカラーがボディとバンパー、サイドステップが別色のツートーンカラーとなっています。またボディサイドに「SPORT SHIFT SUPER CHARGER 16VALVE DOHC」というデカールが張り付けられています。リアゲートの左にも「RX-SS」のグレードステッカーが張り付けられています。エンジンは、スーパーチャージャー付4気筒DOHCのみ。トランスミッションは、スポーツシフトECVT(6速マニュアルモード付)のみでCVTへの負荷を考慮し最高出力に変更はなく64PSですが、最大トルクは9.2㎏と後期型の「RX-R」シリーズの10.8㎏から抑えられています。駆動方式はFFモデルと4WDモデルを設定。インテリアではメーターパネルは、中央にシフトゲージが表示(マニュアルモード時にギア数表示)され、「SPORT SHIFT]の文字が刻まれています。シフトノブはATレバーを左側にマニュアルモードシフトゲージがあり、前(+)、後ろ(ー)のそれぞれのゲージにシフトレバーをスライドさせることでギアチェンジできるようになっています。「ビストロSS」モデルは、「ヴィヴィオ・RX-SS」の「ビストロ」バージョン。これらスポーツシフトモデルは「ヴィヴィオ」のモデル末期ということもあり販売台数は非常に少なく激レアモデル。


「ヴィヴィオ・RX-Rシリーズ」:価格

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1992年~1998年という生産期間から旧車となっています。年数に加えてスポーツモデルゆえにモータースポーツやストリートで酷使されている個体も多く、オリジナル車両や状態の良い「ヴィヴィオRX-R」シリーズは少ない状態です。中古車の流通は30台前後で走行距離などは平均して15万キロオーバーです。また1992年の初期型モデルの程度の良い個体の流通は少ないようです。今後、このような軽自動車は新車で各自動車メーカーから販売されることは皆無だと思います。そして、ハイスペックな軽自動車は今後、中古車価格が高騰することが予想されています。

  • 「RX-R」:40万円~220万円
  • 平均相場中古車:80万円前後
  • 「RX-SS」:80万円前後
  • 「RX-R S1」:ーー
  • 「RX-RA]:ーー
  • 「RX-R SPECIALバージョン」:ーー
  • 「ビストロSS」:ーー
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