【スズキ・RE‐5】水素ロータリーエンジンの基礎を築いたバイク

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【スズキ・RE‐5】水素ロータリーエンジンの基礎を築いたバイク

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世界的なカーボンニュートラルが推進される中、自動車業界、オートバイ業界はEV化が進み、ガソリンエンジン搭載モデルは希少車となりつつあります。しかも、排気ガス規制が強化される中にあって、大排気量エンジンやハイパワーエンジンなどは、とりわけ貴重な存在となっています。そのガソリンエンジンの中で特異な存在が、ロータリーエンジンかもしれません。レシプロエンジンと異なり、唯一の市販車となれば、自動車は「マツダ」の「コスモスポーツ」や「ファミリア・ロータリークーペ」、「RX-3」、「RX-7」、「RX-8」など日本のモデルのみです。レース業界では世界三大自動車レースとされている「マツダ・787B」が「ル・マン24時間耐久レース」で優勝しています。非常にコンパクトで軽量で低重心化、高出力の狙えるエンジンでありながら市販車で搭載車種は「マツダ」のみ。そして、オートバイ業界になるとさらに貴重で日本国産市販車では、「スズキ・RE‐5」が唯一のモデルとなります。このバイクは幻のバイクとも言われており、登場時は世界が注目し、その技術に驚愕したとされています。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、「スズキ・RE‐5」に注目します。


「ロータリーエンジン搭載車の価値」

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ロータリーエンジンのオートバイは世界的にも希少なモデルとなります。「スズキ」はロータリーエンジンの特許を持っていた当時の西ドイツの「NSU・バンケル」社とライセンス契約を結び、3年余りの開発期間を経て市販化にこぎつけています。ロータリーエンジンはシングルローターながら左右2本出しのエキゾーストパイプが装備されます。冷却フィンを設けた排気マニホールドから導かれるエキゾーストパイプは、前方に冷却風の取り入れ口を設けた独特のレイアウトとなっています。冷却方式は、ローター内のオイル噴射とハウジングを水冷とした2系統の水油冷方式で、排気と冷却面から「スズキ」が熱対策に苦心した跡が伺える構造となっています。例えば、エンジン前部のラジエーターには電動ファンが装備されており、エンジン幅を上回るほど大きくなっています。「スズキ」のバイクの特徴としては、コストパフォーマンスが高いことで知られていますが、4大メーカーの中でもエンジンの強度の高さがトップクラスです。これは、エンジン本体の信頼性を重要視するという設計姿勢の裏返しであり「スズキ・RE‐5」の冷却システムも強度面からも冷却の設計を重用しながら強化して設計されたことでしょう。


「ロータリーエンジン車のスズキ・RE‐5のスペック」

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「スズキ・RE‐5」のロータリーエンジンは、排気量が497㏄で、ローターは×1、最高出力は62PSです。生産数も非常に少なく現存し流通している個体は僅かです。実のところ、国内基準では排気量枠に制限があるために輸出専用モデルとして海外のみで販売されていました。当時の新車販売価格は、75万円。しかし、現在は希少性や貴重性から中古車相場は200万円から300万円となっています。


「ロータリーエンジン搭載バイクのデメリット」

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ロータリーエンジンはコンパクトで軽量ということに加えて高出力ということから1960年代はメーカー各社が開発に着手していました。日本でも「トヨタ自動車」、「日産自動車」、「ヤマハ発動機」、「川崎重工」、「本田技研工業」などが試作モデルを開発。しかし、市販化したのは、「マツダ」と「スズキ」のみでした。「スズキ・RE‐5」は、生産期間が1974年から1976年の2年間。生産台数は6,000台ほどの生産となっています。この原因はロータリーエンジンのデメリットにあります。

1「冷却に課題を抱えていた」:エンジン本体はコンパクトでしたが、発熱が多く冷却に問題があったのです。「スズキ・RE‐5」は冷却機構を大きくすることで対応しています。排気熱も高く、マフラーには遮熱の加工が必須でした。

2「燃費性能」:燃費性能が悪いことでした。これは、発熱が多いということで熱効率が悪いということが明らかになっています。その後、1974年にオイルショックが襲い、「スズキ・RE‐5」はラインナップから姿を消してしまう結果となりました。

3「整備性」:ロータリーエンジンは特殊部品が多く整備は難しさを抱えていました。


「将来のロータリーエンジンの可能性」

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現在、ロータリーエンジンを搭載したモデルは販売されていません。しかし、「水素ロータリーエンジン」として復活の兆しがあるようです。脱炭素において次世代エネルギーとして期待されている水素燃料は早期着火が弱点で、シリンダー内のヒートスポットで意図せず爆発してしまうことが課題となっています。しかし、ロータリーエンジンであれば構造上、ヒートスポットが出来ないことから水素燃料との相性が良いとされているのです。それで、水素を燃料としてロータリーエンジンが稼働し発電した電気で駆動する車が将来の車の一つとして候補に挙げられているようです。

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管理人:TMM

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未来に残したい、繋げたいをテーマに日々を過ごすことに夢中。そのテーマに自然界、歴史、科学、教育など、あらゆる方面から未来と過去を行き来出来たら、現在どうなっているか、これから先どうなるのか気になることが多く、今更ながら様々な分野を勉強中。