【東芝・SCiB】チタン酸リチウム電池で世界EV市場で需要拡大

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【東芝・SCiB】チタン酸リチウム電池で世界EV市場で需要拡大

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電気自動車(EV)の世界的市場拡大で、開発が激化しているバッテリー開発。実に日本の総合電機メーカーの「東芝」が、今までのリチウムイオン電池より格段に性能が良い「SCiB電池」の新型モデルを発表しています。今後の開発次第では、次世代の高性能バッテリーとして世界的に注目されていくと思われます。脱炭素カーボンニュートラルが注目され、再生可能エネルギー、エネルギー資源の開発が急務とされている世界のエネルギー情勢において、とても重要な情報と言えるでしょう。そこで今回の「TimeMachineMuseum」では、「東芝」が開発し発表した「SCiB」の新型バッテリー(電池)に注目します。


「EV化に伴う新型電池(バッテリー)の開発技術」

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「2030年までにトヨタグループで30車種のモデルが電気自動車(EV)を販売する」と発表し世界の自動車メーカーやファンに驚きを与えました。地球温暖化などの世界的な環境問題に直面している今、日本政府も2050年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を同じにする、いわゆるカーボンニュートラルな社会にすることを宣言したこともあり、世界のトヨタが、このように電気自動車を数多く発表をする流れというのは、自然な流れと言えるのかもしれません。日本のみならず世界的に注目されている電気自動車は、もちろん環境問題を解決するアイテムという認識もあると思いますが、実際の購入理由としては、搭載されている自動運転などの先進技術やテスラ車に代表されるような次世代のインテリアデザイン、モーターによるリニアな加速性能などが決め手となっていることが多く、また今年度に関しては最大85万円の補助金が国から付与されるということもあり、販売台数は年々増加している傾向にあります。この事実は、数年前と比較して電気自動車がより身近な存在になってきたということになります。


「東芝が開発した新型電池」

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電気自動車の性能を大きく左右する重要なポイントとして、搭載されている大容量の電池(バッテリー)が挙げられます。現在は、この大容量の電池(バッテリー)に関して大きな技術革新が起きようとしている最中で、「トヨタ自動車」、「パナソニック」や「ホンダ自動車」など大手のOEMや電池メーカーが力を入れている分野と言えるでしょう。とりわけ日本の総合電機メーカーの「東芝」が、今までのリチウムイオン電池より格段に性能が良い「SCiB電池」の新型モデルを開発しています。しかし、ライバルの中国の「LFP電池」に価格面で大きく押されてしまっている現状で「フォルクスワーゲン」と提携して今後の電気自動車市場に向けて拡大させているために苦戦が強いられています。「SCiB電池」という電池についてですが、すでにこれまでに実装されてきた電池で「三菱・i-MiEV」や「三菱・ミニキャブMiEV」、「日産」「三菱」、「スズキ」、「マツダ」のハイブリッドカー用のバッテリーに採用されて実用化で実績を残しているのです。


「SCiB電池とリチウムイオン電池の比較」

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「SCiB電池」と「リチウムイオン電池」を比較してみると、どのような点に相違があるのでしょうか。

1:構造的に違うポイントとして一般的に黒鉛等を採用している負極材にチタン酸リチウムというセラミック材料を使用している。これによって「安全性」、「低温性能」、「高入出力」、「急速充電」、「広い実効SOCレンジ」、「長寿命」という6つの特徴があります。

「安全性」:セラミックであるチタン酸リチウムを負極に採用したことでリチウムが析出しないため、セパレーターを突き破り正極と短絡(ショート)する可能性がなく安全なのです。このことは、電気自動車の場合事故などで電池に大きな外力が加わった場合でも発煙や発火の可能性が低いことを意味しており、電気自動車のオーナーとしても販売する側としても大きな安心材料と言えます。

「長寿命」:一般的なリチウムイオン電池の場合、温度によって差はありますが、3000~6000サイクルが寿命と言われています。「SCiB」の場合は、7000~20000サイクルとも言われているのです。またフロート充電しても劣化が少ないというメリットもあります。フロート充電というのは、100%を維持し続ける充電状態のことで主に非常用蓄電池などに採用される充電方法です。でもこの方法は、電池にとっては厳しく劣化しやすい状態なのです。「東芝」の発表によれば25℃以下においては、ほぼ劣化がないということなのでフロート充電が必要な用途では「SCiB」が適していると言われています。

「高入出力」:負極材に採用されているチタン酸リチウムは、従来の炭素系に比べると5~6倍の高入出力特性を有しており、瞬間的に大きな電流が必要になるバスや電車などにも応用できるだけでなく、より短時間で電池を充電することができるというメリットもあります。海外では、大容量の電動バスプロジェクトにおいて停車の15秒を使い、電池の一部を充電し航続距離を伸ばすことが可能になっているのです。ですから開発が進めばガソリンの給油と同じほどの時間で電池の80%以上を充電することも可能になると言われています。

「低温性能」:-30℃程度の極低温下において負極側にリチウムが析出しないために北海道などの寒い地域においても電池の劣化というリスクを負うことなく繰り返し充放電が可能になります。

「広い実効SOCレンジ」:電池の充電状態のことを「SOC」といい、満充電の場合は100%、完全放電した場合を0%と表します。従来のリチウムイオン電池の場合は、0%や100%付近においては負極側にリチウムが析出するなどの副反応発生により劣化が促進されてしまいます。それで一例として考えると次のようになります。使用しているのは、10%~90%と上下にマージンを取って充放電されるということです。この制御にはコンピューター制御されているのが一般的です。これは、無駄をなくすための方法です。実際、電池を多く積んだとしても使用できる範囲が絞られているので絞られているので無駄な容量ができてしまっています。しかし、「東芝」の電池は副反応が発生しないために0~100%の範囲で使用でき結果として搭[

「エネルギー密度」:最大にして厳しいデメリットもあります。それがエネルギー密度が低いということです。これは、電池セル単体の公称電圧一般的なリチウムイオン電池の3.7Vに対して2.4Vと低いのです。これは、電池が大型化してしまうデメリットがあります。それでも、電気自動車などの重量や大きさの制限のある使用用途には、適切ではないということです。


「新型SCiBの可能性とは?」

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今までは用途別で販売されていた高入出力モデルと大容量モデルの特性を併せ持つ「コンビネーションモデル」。この「コンビネーションモデル」は、内部抵抗を4割も削減したモデルということになります。このことによって内部抵抗が削減するということは高入出力特性が向上し充放電時の発熱も大幅に改善されたのでした。電気自動車に搭載しt場合、大電流を許容できる、つまりは充電時間を短くすることが可能となり、長時間走行や急速充電で電池の温度が上昇し充電速度が遅くなる、熱ダレ問題を解決することができます。また電池寿命を大幅に伸ばし向上させることになるのです。これによって定置型蓄電池のみならず、様々な場面で活躍できる可能性が広がっているのです。


「SCiBはどこで使用されるのか?」

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「SCiB」はどこで使用されるのか?一番期待できるのは電気自動車でしょう。これは電気自動車の大容量電池だけでなくハイブリッド車の小容量電池、電装品の電源に使用されている鉛蓄電池の代替品としても、「SCiB」の安全性や低温環境での性能などが活かせると考えられています。大型(バス・トラック・電車など)の乗り物にも導入メリットがあります。これは、モーターを動かすための大電流が流せることや減速時に発生する大きな回生エネルギーも「SCiB」であれば、許容できる特性があるために電気を無駄なく回収し低燃費化や低排出化に貢献することが出来ます。さらにAGVやドローンなどに最適化することができるならば頻繁に起こっていた電池交換が不要になるという将来も実現可能とされています。

「SCiB」の開発に携わっていた研究開発センターの首席技監である「高見則雄」氏は「SCiB」の発表後に紫綬褒章を受章されています。これは、科学技術の分野において優れた技術や業績を残し、国の発展に貢献した個人に内閣府から表彰されるものです。この受賞は、2008年に業界に先駆けて負極にチタン酸リチウムを採用した電池を開発し量産化にも大きく寄与したことが評価されての受賞です。昨今のカーボンニュートラルの世界的な動きに伴い、チタン酸リチウム電池の可能性に大きな期待が寄せられているということでもあります。

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管理人:TMM

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未来に残したい、繋げたいをテーマに日々を過ごすことに夢中。そのテーマに自然界、歴史、科学、教育など、あらゆる方面から未来と過去を行き来出来たら、現在どうなっているか、これから先どうなるのか気になることが多く、今更ながら様々な分野を勉強中。