【バイクターボ車一覧】国産旧車ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキ

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【バイクターボ車一覧】国産旧車ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキ

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1980年代の自動車業界は、どのメーカーもエンジン出力に拘りパワーウォーズが巻き起こっていました。まずは市販車で200km/hオーバーを実現させるという試みは1960年代から始まっており国産初の200km/hオーバーを記録したのは「ダットサン・フェアレディ2000」という「日産・フェアレディZ」のルーツとなるモデルでした。その後、オイルショックや排ガス規制などによってパワーダウンが強いられたもののターボシステムという過給機を使用して最高出力を向上させること、最高速度を上げていくことに注目が集まるようになり、1980年代に入り過給機搭載エンジンが次々と登場。そのような中、1980年代で先陣を切って200km/hオーバーを実測で記録したのが「トヨタ・ソアラ」でした。この最高速度を超えることが一つの目標値となっていきます。それで、「日産・スカイライン(C210型/R30型)」や「日産・フェアレディZ(S130型/Z31型)」などがパワーウォーズを牽引していきましたが、こうした過給機エンジン搭載モデルの流れは、バイク業界にも影響しました。そこで今回「TimeMachineMuseum」では、1980年代に登場したターボバイクに注目します。


「ターボエンジンの驚異」

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ターボシステムについて簡単に言うとターボチャージャーは、排気圧力を利用してタービンを回し、タービンと同軸のコンプレッサーで加給するシステムのことです。それでターボチャージャーを大きいサイズのするとエンジン出力も向上します。例えば1980年代のF1GPで使用されていたターボエンジンは排気量1,500㏄ツインターボで最高出力は700馬力オーバー、予選専用エンジンの場合最高出力は1000馬力を超えていたと言われています。


「ホンダ・CX500ターボ/CX650ターボ」

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自動車業界に続いて二輪車業界で市販車ターボモデル第一号は「ホンダ」社でした。1981年に発売された「ホンダ・CX500ターボ」で二輪車では世界初のターボ搭載車とされています。輸出専用モデルで国内販売はありませんでした。ベースモデルとなったのは通称シルバーウィングと呼ばれる「ホンダ・CX500(日本国内ではGL500)のエンジンにターボ搭載。この水冷並列V型2気筒OHV4バルブエンジン(排気量:496㏄)はキャブレターをシリンダー内側に装着し、吸排気をストレートにするために22度捻じられた設計となっています。そのためにVバンク内にサージタンクやレゾナンスチャンバーなどが収められており、コンパクト化されています。そして、搭載されたターボチャージャーは日本初のジェットエンジンを開発したことで知られる、「IHI(石川島播磨重工業製)」で当時は世界最小のターボとされていました。燃料供給にはキャブレターではなくフューエルインジェクションを採用しています。制御はエンジン回転数に応じてブースト圧による制御とスロットル開度による制御の2つのマップ制御というデジタル制御を使用。この仕様で「ホンダ・CX500 TURBO」のポテンシャルは、最高出力:82PS/8,000rpm、最高トルク:8.2㎏‐m/5,000rpmを発揮。ちなみにベースモデルの「ホンダ・GL500」の最高出力は48PS。1983年には、「ホンダ・CX650 TURBO」にモデルチェンジ。排気量:673ccにアップし、最高出力は100PS、s最高トルクも10.5㎏‐mに向上。「ホンダ・VX650 TURBO」は1983年の1年のみの生産となり生産台数は1777台とされています。


「ホンダ・VT250Fターボ」

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運輸省の認可が下りず、市販化はされていませんが、最高出力:53PSで200km/hオーバーを発揮した1984年に発表された「ホンダ・VT250Fターボ」。V型2気筒エンジンの前シリンダー下にターボチャージャーを設置。スピードメーターは240km/hまで表示。しかし、ブーストメーターは装備していなかった。


「ヤマハ・XJ650ターボ/XJ1100ターボ」

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1981年、東京モーターショーで発表されたのが、「ヤマハ・XJ650ターボ」。1982年に発売したものの輸出専用モデルでした。ベースモデルは「ヤマハ・XJ650」。制御はキャブレター仕様のターボチャージャー化(三菱重工業製ターボチャージャー)。ターボチャージャーはエンジン後方のマフラーの集合部分となる下方に設置。吸気はベースモデルの位置に設置されているエアクリーナーから吸気。またエアクリーナーボックスとサージタンクの間にリードバルブが設けられており、低回転時や過給圧が低い場合、リードバルブを介してエアクリーナーボックスから直接吸気。過給圧が高まるとリードバルブが閉じるようになっている。このレイアウトは、排気ポートからターボチャージャーが離れて設置されているために効率は、あまり良くなかった。そのために「ヤマハ・XJ650ターボ」のポテンシャルは、空冷4ストローク直列4気筒DOHC2バルブエンジンから最高出力:90PS/9,000rpm、最大トルク:8.3㎏‐m/7,000rpmを発揮。さらに「ヤマハ・XJ1100LGミッドナイトスペシャル」をベースモデルとしてターボチャージャーを搭載した「ヤマハ・XJ1100 TURBO」も参考出品されていました。最高出力は120PS、最大トルクは12.5㎏‐mだったものの市販化はされませんでした。


「スズキ・XN85ターボ」

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スズキがターボバイクを発表したのは1982年で「スズキ・XN85 TURBO」というモデルです。社名の85は最高出力が85PSという数字から取られている。ベースモデルは「スズキ・GS650」。外装のデザインは「スズキ・GSX1100刀」をイメージ。「IHI(石川島播磨重工業製)」のターボチャージャーをクランクケースの背面部分に設置。フューエルインジェクションで制御している。ポテンシャルは空冷4ストローク直列4気筒DOHC2バルブエンジン、最高出力:85PS/8,500rpm、最大トルク:7.8/6,500rpmを発揮。生産台数1153台、そのうち300台はアメリカに輸出されているゆえに激レアモデルです。


「カワサキ・750ターボ」

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1981年の東京モーターショーで「カワサキ・750ターボ」のプロトタイプを参考出品。その後1982年の各地のモーターショーで参考出品。その後、満を持して1984年、カワサキから「カワサキ・750ターボ」が発表される。カワサキは古くからアメリカを主戦場としていたためにアメリカに現地工場を持っており、部品だけをアメリカに送りアメリカにあるカワサキの工場で組み立てて出荷し、現地生産車となりアメリカでは輸入モデルとしては扱われていません。ちなみにターボラグ対策などが設計されていない「カワサキ・750ターボ」は急激に過給圧が上昇するエンジン特性となっていました。このエンジン特性の理由としてターボチャージャーにあります。装着されたタービンは「日立製HT10‐B」を採用。このHT10という品番は4輪車では1200㏄~1600㏄クラスのエンジンに使用されるタービンサイズ。燃料供給装置は、日立製のフューエルインジェクション。「カワサキ・750ターボ」のポテンシャルは、空冷4ストローク直列4気筒DOHC2バルブエンジンで排気量738㏄から最高出力:112PS/9,000rpm、最大トルク:10.1㎏‐m/6,500rpmとなっています。


「カワサキ・Z1R-TC」

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「カワサキ・750ターボ」よりも以前に存在したカワサキのターボバイクである1978年に発売された「カワサキ・Z1R-TC」。アメリカの元カワサキ社員が「カワサキ・Z1R」をベースにターボチャージャーを搭載。販売はアメリカのカワサキディーラー。1978年から2年間販売され500台が販売された。その後、カリフォルニア州で危険と判断し、後付けターボチャージャー搭載車の販売を禁止。そのため「カワサキ・Z1R-TC」は2年間のみの販売となった。実は、日本にも並行輸入モデルとして存在している。現在では取引価格は500万円以上。


「ターボ搭載の輸入モデルが700㏄以下の理由」

輸出モデルのターボバイクモデルの排気量が700㏄以下となっている理由としては、アメリカの二輪シェアが関係している。90%が輸入バイクとなっており、唯一のアメリカ国内メーカーである「ハーレーダビッドソン」を守る必要があり、当時のアメリカ大統領「ロナルド・レーガン」が1982年から5年間は、700㏄以上の輸入バイクに45%の関税をかけるという法案を通したためです。この法案によってリッターバイク並みの性能を発揮できるターボバイクモデルが開発されていった経緯があるようです。

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管理人:TMM

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未来に残したい、繋げたいをテーマに日々を過ごすことに夢中。そのテーマに自然界、歴史、科学、教育など、あらゆる方面から未来と過去を行き来出来たら、現在どうなっているか、これから先どうなるのか気になることが多く、今更ながら様々な分野を勉強中。